錦昌號(長崎市新地町)新地の花火屋/長崎のお盆は花火屋から始まる/手持ち花火は1本いくら?/精霊流しの日に6歳と花火を選んだ一日

錦昌號(きんしょうごう)は、長崎市新地町にある花火の専門店です。長崎新地中華街と湊公園のすぐそばにあり、店の前には「新地の花火屋」と染め抜かれたのぼりが立っています。国産花火、中国花火、それに精霊船用の花火まで扱う、長崎の夏になくてはならないお店です。

我が家は妻の実家が長崎で、この日はお盆の里帰り中でした。2026年8月15日、長崎市内の妻の実家から、妻と6歳の息子と私の3人、車で新地まで出かけました。目当てはこのお店の花火です。10時すぎに店に着き、10分ほどかけて息子と花火を選びました。

妻と結婚してから、毎年この時期は長崎で過ごしています。長崎のお盆は、私が育った土地のお盆とはずいぶん違います。お墓で花火をあげ、まちなかで爆竹が鳴り、8月15日の夕方には精霊船が街を進んでいきます。その一日の朝に、家族で花火屋へ行った記録です。長崎のお盆がどういうものなのか、写真と一緒にお伝えできればと思います。

店頭ののぼり

長崎のお盆は、お墓で花火をあげます

お盆に花火をする土地はほかにもありますが、長崎のそれは規模が違うようです。

長崎では8月13日から15日にかけてお墓参りをし、その場で花火をあげます。手持ち花火だけでなく爆竹も鳴らし、「矢火矢(やびや)」と呼ばれる長崎独特の花火も使われます。ご先祖を賑やかに迎えて送るという意味があり、中国との交わりが深かった土地柄が背景にあるとされています。花火の音が続くため、お盆の時期はコンビニでも耳栓が売られるそうです。初盆を迎える家では花火の購入額が3万円から4万円ほどになり、多い家では10万円分を買うこともあるといいます(ウォーカープラスの記事によります)。

つまり長崎では、お盆の買い物として花火屋へ行きます。新地に花火の専門店があって、8月だけ特別な営業時間が組まれているのは、そういう理由なのだと思います。

錦昌號はどんなお店?

店頭には「花火」と大きく染めた金色ののぼりと、「新地の花火屋 錦昌號」の黄色いのぼりが並んで立っています。歩道に出ているA看板には、扱っている花火の種類がこう書かれていました。

  • 国産花火
  • 中国花火
  • 精霊船用花火(ご予約承っております。)

長崎のお盆といえば精霊流しです。「精霊船用花火」がわざわざ看板に書かれているあたりが、いかにも長崎の花火屋さんという感じがします。

A看板
店の外観

入口には「HANABI 新地の花火屋」の横断幕と、錦昌號の丸い印が掲げられています。

入口の横断幕

基本情報

項目内容
店名錦昌號(きんしょうごう)
所在地長崎県長崎市新地町12-7
電話095-822-1935
取扱い国産花火/中国花火/精霊船用花火(予約可)
駐車場なし(店の前は「車庫前です 駐車禁止」の掲示あり)

長崎の情報メディアの記事によると、扱う花火は約560種類あり、1本10円の花火から売っているとのことです。また、夏以外の時期はプラモデルを扱っているそうで、たしかに店内の一角には、花火の棚に混じってプラモデルの箱が並んでいました。定休日は水曜日で、お盆までは無休となっているようです(2022年の記事によるものですので、最新の情報は店頭かお店にご確認ください)。

営業時間はいつからいつまで?

私が行った2026年8月15日は、入口の脇にこんな掲示が出ていました。

8月営業時間のお知らせ

OPEN 10:00 CLOSE 19:00

※8月16日(日)までの営業時間となります。

※8月16日(日)は15時までの短縮営業となります。

8月の営業時間の掲示

お盆の期間は特別な営業時間が組まれているようです。時期によって変わるものなので、行く前に確認しておくと安心です。

アクセスと駐車場

駐車場は近くのコインパーキングへ

お店に駐車場はありません。店の前には「車庫前です 駐車禁止」という赤い掲示が出ていますので、車で行く場合は近くのコインパーキングに停めることになります。

我が家が停めたのは、店から歩いて5分ほどのところにある「あなぶきパーク新地町」でした。料金はこうなっていました。

区分料金
入庫から24時間最大(普通車区画)1,400円
入庫から24時間最大(軽区画・5番〜12番)1,300円
オールタイム40分/200円
バイク駐輪場・入庫から12時間最大200円
バイク駐輪場・終日120分/100円
コインパーキングの料金看板
満空表示

「25番車室は車高の低い車はご遠慮ください」という注意書きもありました。買い物だけなら1時間もかかりませんので、オールタイムの料金で足りると思います。

湊公園から歩いてすぐ

新地中華街に面した湊公園から、歩いて数分の場所です。中華街の門をくぐって、そのまま海側へ下りていく道すじになります。

湊公園の中華門
店へ向かう道
歩道を歩く
信号を渡って

お盆の朝、湊公園には精霊船が並んでいました

車を停めて店に向かう途中、湊公園を通りました。この日は8月15日、長崎の精霊流しの日です。公園には、夕方の出発を待つ精霊船が並んでいました。

湊公園の広場
提灯棚と受付テント

家名を書いた提灯がずらりと下がる棚があり、「精霊供養」と書かれた幕が張られています。菰(こも)を巻いた船体にはブルーシートがかけられ、出発の時間まで日差しをよけているようでした。

「南無阿弥陀仏」の精霊船
屋形の白幕
支度をする人たち
中華風の東屋と精霊船

別の一角には「西方丸」の幟が立ち、赤地に「森安家」と書かれた大きな札を掲げた船が置かれていました。

「西方丸」の幟と船
森安家の船
湊公園の全景

公園には、こんな解説板が立っていました。

湊公園は写真のようにかつて長崎港へと続く河口だった所で、昭和初期に埋め立てられ、昭和32年(1957)に公園として整備されました。現在は、中国の旧正月にあわせて開催される冬の風物詩・長崎ランタンフェスティバルのメイン会場としても利用されています。(長崎市の解説板より)

湊公園の解説板

冬はランタンフェスティバルの会場になり、夏は精霊船が集まる。同じ広場が季節でまるで違う顔になるのだなと、看板を読みながら思いました。

夕方には、この船が街を進みます

精霊流しは、その年に亡くなった方のご遺族が、故人の霊を極楽浄土へ送るために行う行事です。手作りの船を曳きながら街なかを練り歩き、「流し場」と呼ばれる場所を目指します。夕暮れどきになると、鉦の「チャンコンチャンコン」という音と、「ドーイドーイ」の掛け声、そして耳をつんざくほどの爆竹の音が街に響くのだそうです(長崎観光の公式サイトによります)。

長崎市によると、令和8年の精霊流しは8月15日、精霊船の受付は午後5時から午後9時終了予定。流し場の中ではすべての花火が使用禁止で、やびやや連発式の花火など、火災やけがの原因になる花火は使わないよう呼びかけられています。当日は車両通行止めになる区間もあります。

私たちが見たのは、この行事が始まる7時間ほど前の、静かな公園でした。夜のあの音と煙を知っているぶん、菰をかけられた船が日差しの下でじっと待っている姿は、かえって印象に残ります。買った花火をどこで楽しむかは、事前に決めておいたほうがよさそうです。

店内はどんな感じ?1本ずつ選べる花火が並びます

入口で買い物カゴを取って、そのまま奥へ進む造りです。「花火をご購入のお客様は、このカゴをお使い下さい」という掲示が出ています。

店内は、花火の種類ごとに掲示が下がっていて、どこに何があるかがすぐ分かるようになっていました。私が見た限りでは、こんな区分けです。

  • 手持ち花火 — 「お子様から大人の方まで楽しめます」
  • セット花火(台紙) — 「お子様から大人の方まで楽しめます」
  • 煙幕・へび花火その他 — 「お子様から大人の方まで楽しめます」
  • 国産打上花火 — 「大人の方が使用してください」
  • 中国打上花火 — 「大人の方が使用してください。大きな音がしますが、とてもきれいで、楽しめます」

いちばん面白いのは、手持ち花火が1本ずつバラで買えることです。木の箱にススキやスパークが種類ごとに立ててあり、1本ごとに値札が付いています。値札は税込表示で、安いものは1本22円、44円、66円、88円。少し豪華なものでも110円から300円ほどでした。カゴを持って、好きな1本を好きなだけ選んでいく買い方です。

セット花火は台紙に入ったおなじみの形で、88円のものから770円くらいまで並んでいました。線香花火は、色とりどりの棒がぎっしり詰まった箱のほかに、桐箱に入った国産の高級品もあり、こちらは1,000円台です。

打上花火や噴出花火は、筒が棚いっぱいに立ててあります。値段は800円台から2,400円台くらいまで幅がありました。国産と中国製で棚と掲示が分けられているのが、いかにも専門店です。

変わりだねも多く、「うんちスパーク」「いぬのうんち」「パンダのおとしもの」といった、子どもが確実に食いつく名前の花火が並んでいます。花火のお供として、虫が嫌がるシトロネラ成分入りのバケツろうそくや、燃焼時間約8時間のろうそく、使い終わった花火を入れるバケツなども置いてありました。

6歳の息子は、「お盆玉」を握って店に来ました

長崎には、親戚の子どもに花火代を渡す習わしがあるそうです。お年玉ならぬ「お盆玉」です。子どもたちはそれを持って花火屋へ行き、1本いくらの花火を自分で選ぶ。うちの息子も、長崎のおばあちゃんからお盆玉をもらっていました。この日、店に入っていったのは、その花火代を握った6歳です。

だからでしょうか、息子は手持ち花火の木箱の前から動かなくなりました。1本ずつ手に取っては戻し、また別の1本を取る。値札ではなく、色と絵柄で選んでいます。

最後に選んだのは、サメの形をした箱の花火でした。青い箱に赤い口と白い歯が描かれた、たしかに6歳が選びそうな一品です。差し出されたカゴに、自分で入れていました。

会計は7,271円。手持ち花火を1本ずつ選んでいくと、思ったより積み上がるものです。

レジ袋を提げて
店の前で

錦昌號の名前が入った白いレジ袋は、息子が自分で提げて帰りました。袋には店の名前と、新地の街並みらしき絵が刷られています。

買って帰った花火を並べてみました

実家に戻って、袋の中身を畳の上に出してみました。これで7,271円ぶんです。

錦昌號のレジ袋
袋の中身は花火でいっぱい
畳に並べた花火

並べてみると、畳一畳ぶんくらいになりました。手持ち花火が中心で、色や仕掛けの違うものが少しずつ入っています。

息子が選んだサメの箱花火と、クジラの筒。ヘビ花火の「パンダのおとしもの」、魚を釣り上げる絵柄の「釣り名人」、日本刀をかたどった細長い箱の花火もあります。

サメ、クジラ、パンダのおとしもの

香りつきの花火が意外と多く、「チョコのにおいの花火だぜ!」「すいかはなび」「イチゴのにおいの花火だよ!」が並びました。赤いタコの絵の「たこおどり」と「タコのまるやき」も入っています。

香りつきの花火とたこおどり

店で見て気になっていた「うんちスパーク(※臭いはしません)」も、しっかり入っていました。ほかに「点滅スパーキング」「点滅フラッシュ」といった変色するタイプと、ヘビ玉が少し。

うんちスパークと点滅シリーズ

締めの線香花火は、煙少なめの極太タイプと、「せんこうはなび 雅」。細い棒の手持ち花火は、色ごとに束になっています。

線香花火と手持ち花火

こうして並べてみると、パックのセットでは絶対に組み合わせない顔ぶれです。1本ずつ選べる店ならではだと思いました。

夕方4時半、「こも」を持って流し場へ

長崎の精霊流しでは、初盆の年は船を出しますが、2年目以降のお盆は「こも」を持っていくのが一般的だそうです。藁で編んだ小さなこもにお供え物を包んだもので、これを流し場へ納めます。

この日の夕方、妻の実家のこもを持って、家族で歩いて流し場へ向かいました。運び役は6歳です。自分の背丈ほどもある束を、両手で抱えて歩いていました。

こもを抱えて歩く
流し場へ向かう道

同じ方向へ歩く人が、みんな同じものを抱えています。花を挿したこもを小脇に抱えたおじいさん、紙袋を提げた家族連れ。誰も何も言いませんが、行き先は全部同じでした。

流し場に着きました

着いた先には、こもの山ができていました。青々とした藁の束が積み上がり、花とお供え物がのぞいています。息子は自分が運んできた束を、その山の端にそっと置きました。

こもの山に置く
積み上がったこも

「こも置場」と書かれた大きな看板が立っています。

「こも置場」の看板
こも置場のようす

その手前には「線香入れ」の看板と、ドラム缶を横にしたような火床がありました。線香の煙が絶えず上がっていて、あたり一帯が白くかすんでいます。写真が全体にもやがかって見えるのは、加工ではなく本当に煙です。

「線香入れ」と火床
煙が絶えません

夕方6時半、精霊船が街に出ました

日が傾くころ、街に船が出はじめました。

「村崎」の船

菰を張った大きな帆に家名を書き、屋形には遺影と白い提灯、そしてお供えが並びます。旗には「佛心」の二文字。この船を、ご家族と親戚が押して歩きます。

交差点で
街なかを進む
提灯に灯が入りました

別の船は、揃いの紺色のシャツに白い手ぬぐいを肩からかけた一団が曳いていました。「百万丸」の旗、ピンクの提灯、船首いっぱいの造花。ガソリンスタンドの前を、ゆっくり横切っていきます。

「百万丸」の船
揃いのシャツで曳きます

そして、朝に湊公園で見たのと同じ「西方丸」の幟が、灯りの入った船と一緒に坂を下りてきました。朝は菰をかけられて日陰で待っていた船が、暗くなった街を進んでいく。同じものを朝と夜に見たのは、少し不思議な感じでした。

「西方丸」の幟
「川添家」の船

そして爆竹です。何度見ても、この音には身構えます。何十発という単位で立て続けに鳴り、路面に煙が溜まって、船の足元が見えなくなるほどです。会話はまったく聞こえません。写真がかすんでいるのは、ここでも煙のせいです。お盆の時期に長崎のコンビニで耳栓が売られるのは、伊達ではありません。

夜8時、実家の庭で花火をしました

船が通りすぎたあと、家に戻って花火をしました。朝に錦昌號で買った、あの袋です。

朝に選んだ花火に火をつけました

息子が選んだ噴出花火に火をつけると、思っていたより勢いよく吹き上がって、白い煙が塀の高さまで上がりました。息子は口に手を当てて、少し離れたところから見ています。自分で選んだ1本です。

朝に花火屋へ行き、夕方にこもを納め、夜に庭で花火をする。この一日で、長崎のお盆をひととおりなぞったことになります。

子連れで行くときに知っておきたいこと

行ってみて分かった注意点を挙げておきます。

  • 駐車場がない — 近くのコインパーキングを使うことになります。お盆の時期の新地周辺は混みますので、少し離れたところも見ておくと安心です。
  • 飲み物の持ち込みができない — 「花火が濡れますので、ペットボトル・紙やカップなどの飲み物などは持ち込まないでください」「店内での飲食もお断りします」という掲示が出ています。子どもの水筒も、店に入る前に車に置いておくのがよさそうです。
  • お盆は混む — 8月15日の午前中は、店内にお客さんがたくさんいました。通路は広くないので、小さい子の手は離さないほうがいいと思います。
  • どこで花火をするかを決めてから — 精霊流しの流し場では花火を使えません。宿や実家の周りで手持ち花火ができる場所があるかどうか、買う前に考えておくとよさそうです。
  • 夕方の街は爆竹の音でいっぱいになります — 小さいお子さんや、大きな音が苦手な方と一緒なら、耳栓を用意しておいたほうがいいと思います。煙もかなりのものです。

まとめ

長崎のお盆は、お墓で花火をあげ、8月15日の夕方には精霊船が街を進みます。だから新地には花火の専門店があり、8月だけの営業時間が組まれ、子どもは「お盆玉」を握って店へ行く。錦昌號は、その真ん中にあるお店でした。手持ち花火は1本22円から、1本ずつバラで選べます。

我が家は妻の実家への里帰りでしたが、朝に花火を選び、夕方にこもを運び、夜に庭で火をつけるまでを通してみて、これは買い物ではなく、この土地の行事の一部に混ぜてもらっているのだなと思いました。6歳が自分の背丈ほどのこもを抱えて歩いた道のりも、パックの花火セットでは得られない時間でした。

お盆に長崎を訪れる機会があれば、夕方の精霊流しだけでなく、その日の昼間の街も見てみてください。花火屋に人が並び、公園に船が置かれている。行事が始まる前の時間にも、長崎のお盆は流れています。

長崎への帰省では、前日に長崎バイオパークにも行っています。こちらも記事にしていますので、よろしければご覧ください。

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